歯はなぜ失うのか?どうすれば守れるのか?
- 2024年1月19日
- お知らせ
こんにちは、たつみなかにし歯科医院です。
本日は、歯を失ってしまう原因についてお話し致します。
皆さんは歯を失う原因で1番多いのは何だと思いますか?
むし歯でしょうか?
歯周病でしょうか?
はたまた別の理由でしょうか?
〜歯を失う原因で最も多いのは?〜
厚生労働省の調べによりますと、歯を失う1番の原因は歯周病になります。
そして、歯を失う原因の二大巨頭はむし歯と歯周病であり、この2つで全体の半分以上を占めます。
まとめると、歯を失う原因は
第1位 歯周病
第2位 むし歯
第3位 歯の破折(歯が折れる) となります。
前回、歯を抜くか、残すかの内容でブログを書きましたが、
その時も抜かないといけない理由は、いずれも上記の原因が重度に進んでしまったものでした。
今回は、歯を抜く原因の第1位である歯周病についてお話ししたいと思います。
〜歯周病ってどんな病気?〜
皆さんは歯槽膿漏(しそうのうろう)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
今はあまり言われなくなりましたが、昔はテレビのCMなどでも紹介されていました。
現在の歯周病とほぼ同じ意味になりますが、厳密に言うと、
歯槽膿漏は、歯周病の中でも末期まで進んでしまった状態を指します。
歯周病は全国で80%以上の方が罹患している最大の感染症とも言われています。
もちろんほとんど症状の出ない軽度なものから、
歯がグラグラして膿が出るような重度のものまで、症状は様々です。
歯周病のステージを見ていきましょう。
上記の図は左から右にかけて歯周病がどんどんひどくなっています。
①健康な状態
歯周病がほとんど進行しておらず、歯周組織が健康な状態を表しています。
歯周組織とは、歯の周りの歯茎や歯を覆っている顎の骨のことですが、
歯周組織が健康で、腫れや炎症が全く見られない状態です。
②歯肉炎
歯周組織のうち、骨は溶かされておらず問題はないが、
歯茎が腫れて炎症を起こしている状態です。
この段階では、反応は可逆性(元の状態に戻る)なステージになります。
しっかりと、プラーク(歯垢)や歯石を除去し、口腔内細菌を減らすことで、
元の健康な状態に戻すことができます。
③初期歯周炎
ここから不可逆的(元に戻らない)なステージになります。
歯茎は炎症を起こし、歯茎の中にまで歯石がついてしまっている状態です。
歯石というのは、口腔内細菌の塊ですので、毒素を出すことによって、
歯周組織を破壊していきます。
ここで歯周病の進行を食い止め、キープすることが重要です。
④中程度歯周炎
初期歯周炎がさらに進行してしまった状態です。
ここまで進行すると、歯茎が大きく腫れたり、歯周ポケットから膿が出たり、
歯がグラグラしたり、違和感を感じることが増えていきます。
歯周ポケットは6mm以上になり、外科的な処置が必要になるケースも多くなります。
⑤重度歯周炎
歯周病が末期まで進んでしまった状態です。
歯周組織が、歯の根っこ付近まで破壊され、支える骨がないために、
今にも抜けそうなほどグラグラしたり、場合によっては自然に抜けたりすることもあります。
ここまで歯周病が進行してしまうと、外科手術を行ったとしても歯を残せる可能性が、
極端に低くなってしまいます。
歯周病は、”silent disease”(静かな病気)とも言われ、痛みなどの症状が少ないのが特徴です。
痛みが生じるケースは、歯茎がパンパンに腫れたり、歯がグラグラで噛めないなどで、
上記で記した中等度〜重度の歯周炎まで進行している場合がほとんどです。
そのため、歯周病が原因で痛みが生じている場合は、取り返しのつかないことがほとんどなのです。
〜歯周病を進行させないためにできることは?〜
ではどうすれば、歯周病を進行させないようにできるのでしょうか?
それは、”定期的に歯科医院でメインテナンスを受ける”ことです。
以前のブログに、定期検診の必要性について記しました。
そこでお伝えしたのは、歯医者は何か問題があって行くところではなく、
何も問題がないかどうか診てもらう場所だということです。
全く症状がないから、、とおっしゃる方も多いと思います。
ですが、先ほども申し上げました通り、歯周病というものは重度に進んでからしか症状が出ません。
つまり、症状がなくても歯周病が進んでいる可能性があります。
それを早期発見することが、定期的なメインテナンスの役割であると考えています。
また、その際に初期むし歯を見つけたり、歯が欠けているのを早期発見したりと、
メインテナンスがもたらす効果はかなり大きいと感じています。
とはいえ、中々忙しくて歯医者に行きたいと思っていたが、気付けば1年以上経っていた、、
という方も多いでしょう。
自分のお口の中が今どのステージにいるのか気になる方もいるかもしれません。
そういった方に簡易的ではありますが、歯周病が進行している可能性が高いチェックリストを作成しました。
複数当てはまる方がいらっしゃいましたら、ぜひお近くの歯科医院で診察を受けてみてはいかがでしょうか。
◯歯周病のチェックリスト
・歯磨きの時に出血する。または血の味がよくする。
・歯茎が時々もしくは頻繁に腫れる。
・硬いものを噛むと歯が痛い。最後まで噛めない。
・口臭が気になる。他人から指摘される。
・歯がグラグラしてる。
・歯茎が下がって、歯が長く見える。歯と歯の間に隙間ができた。
上記の症状がない方でも、歯周病予備軍の方はいらっしゃいますので、定期的な受診をお勧めします。
また、歯周病のリスクが高い方というのも存在します。
・中年期以降の方(40歳以降〜)
・糖尿病に罹患している方
・喫煙されている方
・妊娠されている方
・歯並びなどの関係で、歯磨きが困難な方
・食いしばりなど、噛む力が強い方
以上の方は、歯周病のリスクが高いため、より注意が必要になります。
とはいえ、ご自身でセルフケアをしっかり行うことで歯周病を食い止めることは可能です。
そのためには、歯ブラシ以外の清掃用品を用いる必要があります。
デンタルフロスや歯間ブラシをご存知でしょうか?
歯周病が進行しやすい部位は、歯と歯の間です。
しかし、歯と歯の間というのは非常に狭いので歯ブラシが届きません。
そのため、歯間ブラシやフロスを用いる必要性が出てきます。
ただし、使い慣れている方でないと、中々扱うのが難しい場合もあります。
その場合は、衛生士がしっかり指導から、その方にあったものをお勧めさせて頂きますので、ご安心ください。
しっかりセルフケアをした上で、磨き残している部分を定期検診でチェックし、
歯石になってしまっている場合は、歯ブラシなどでは取れませんので、
専門的な機械でしっかり除去していくといったステップが必要になります。
そのステップをしっかり守って、ご自身の歯を生涯守っていきましょう!!
長々と書きましたので、最後に要点をまとめます。
①歯を失う1番の原因は歯周病です。
②歯周病は初期段階では、症状がなく進行します。
③セルフケアには、歯ブラシ以外に ”歯間ブラシ” や ”デンタルフロス” を用いましょう。
④定期的に歯科医院に通うことで、自分のリスクを知り、歯周病を予防しましょう。
以上になります。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!