むし歯で穴が空いてしまった歯はどうやって治す? 〜なぜ早期発見が重要で楽なのか?〜
- 2024年9月25日
- お知らせ
こんにちは、たつみなかにし歯科医院です。
前回、むし歯になるまでの過程、むし歯のステージ、症状、そして予防法までお話ししました。
甘いものを時間を決めて食べて、しっかり歯磨きをして、定期的なメインテナンスをしていれば、
むし歯のリスクは限りなく0に抑えることができます。
もっと早くそんな話を聞いておけばよかったと思う方も少なくないかもしれません。
すでにむし歯で穴が空いてしまっている、しみるなどの症状があるという方もいるかもしれません。
出来るだけ早く、歯科医院の受診をオススメします。当院でお待ちしております。
さて、むし歯になった経験のある方に、今回はその治療法について説明します。
〜むし歯の治療法 C1、C2編〜
前回のおさらいです。
むし歯には5段階のステージがあるとお話ししました。
CO:歯の表面から無機成分が溶け始めた状態。削る段階ではない。
C1:エナメル質の表面が溶け始めた状態。痛みはない。
C2:象牙質まで進行した状態。痛みが出てくる。
C3:神経まで達した状態。強い痛みが出始める。
C4:神経が死んでしまって、歯がほとんど溶けきっている状態。
COは削らずに経過観察なので、C1の治療法からご説明していきますが、
C3からはむし歯も大きくなり、治療が煩雑になりますので、次回にしっかりと説明していきます。
今回は、C1とC2に関して、実際の写真を用いながら、ご説明できればと思います。
まずこちらの写真をご覧ください。
歯の噛む面に、黒くむし歯ができ、穴が空いてしまっています。
昔詰めた詰め物の下がこのような状態になっており、痛みもなく、ご本人は気付いていませんでした。
定期検診で精査し、詰め物を外したところ、黒く大きな穴が空いてしまっていました。
むし歯を取ると、幸い神経には到達していませんでした。
痛みがなかったことからも、この歯に関してはC2だったことがわかります。
上記の写真は、むし歯が完全に取りきれていますが、むし歯が深かったところに関しては、
むし歯菌が産生する黒色色素によって、歯が褐色に染まるため、染まっている場所ほど、
むし歯が深かったことがわかります。
染まっているところ全てを削ってしまうと、健康な歯を削ってしまうことにもなりますし、
神経に近いところまで削ってしまうことにもなるため、我々の医院では、
カリエスチェッカーという、むし歯だけ特異的に染めてくれる液や、歯の硬さによって、
視覚的と触覚的に、健常な歯とむし歯になった歯の区別をしております。
そのため、患者様の健常な歯を可能な限り削らずに、最大限保存するということを達成しています。
むし歯で削った箇所を、コンポジットレジンと呼ばれる樹脂で詰めた写真になります。
これをレジン充填、専門用語でCRF(composite resin filling)と言います。
この治療だと、治療回数は1回で済みます。保険内でも治療が可能になります。
ちなみにC1の場合は、エナメル質という歯の表層でむし歯になっているため、
溶かされかけた歯が、再石灰化といって、再度元に戻る現象が起きるため、
むし歯の進行を食い止めることが出来れば、削らずに済むこともあります。
ただ、C1の場合でも、エナメル質が脱灰といって少し溶かされるため、審美不良となる場合は、
削って、レジン充填を行うこともあります。
歯を削らなくても問題ない場合は、患者様と相談し、どうするか決めてもらうようにしています。
〜むし歯の好発部位とその発見方法〜
さて今回は、隣り合う歯との間にむし歯が存在しなかったため、レジン充填が可能でした。
しかし、むし歯好発部位とは、歯の噛む面ではなく、歯と歯の間(コンタクト)にできることが多いです。
人間は何か物を食べる時、必ず唾液が分泌されます。分泌量には個人差がありますが、
歯と歯がかみ合っている所に関しては、その唾液が食べかすを洗い流してくれます。
そのため、よっぽど間食が多いとか歯磨きを怠るなどのことがない限りは、むし歯になるリスクは低いと言えます。
しかし、歯と歯の間はそうはいきません。
ある程度、唾液の自浄作用があるとはいえ、歯間ブラシ、フロスなどの補助器具を使用しなければ、
むし歯になる可能性は高くなってしまいますし、補助器具が面倒で使用されない方が多いのも事実です。
そのため、歯と歯の間からむし歯になってしまうことが多いのです。
歯と歯の間がむし歯になってしまうデメリットは他にもあります。
まず、噛む場所と違い、お口の中からあまり見えません。
そのため、レントゲン検査などしっかり行わなければ、見逃してしまうことも少なくありません。
当院では、目視でしっかり見落とさないことも十分心がけていますが、レントゲン写真、
さらには、お口の中のお写真を撮影することにより、客観的に見ることで、むし歯の見逃しを防いでいます。
むし歯は大きくなってから治療するのではなく、小さい時にいかに治療できるかで、
治療期間、治療時の痛み、治療後の痛み、その歯の寿命が大きく変わってきます。
〜歯と歯の間(コンタクト)のむし歯はどうやって治す?〜
話を元に戻しましょう。
歯と歯の間にむし歯ができてしまった場合、どう治療するのか。
治療法は2パターンあります。
①レジン充填
②インレー
レジン充填は先ほど説明した通りなので割愛します。
インレーとは、いわゆる詰め物のことをいいます。
むし歯を取り切って形を整えた後、歯の型取りを行って、詰め物を作製します。
皆さんは、粘土のようなぐにゃっとしたもので型取りをした経験はあるでしょうか。
あれが歯を修復させるための、重要なステップになります。
では、どのようなものか実際に見ていきましょう。
〜レジン充填〜
赤く囲っている部分にむし歯があります。
このように間からむし歯になっているケースでは、パッと見た感じむし歯があるようには見えません。
むし歯を取るとこれだけ穴が空いてしまっていました。
一見綺麗に見えても、実際はこれぐらいむし歯で穴が空いている場合がほとんどです。
これをCR(コンポジットレジン)により詰めていきます。
詰めた後の写真になります。
噛む面を詰める時と異なり、詰めた後に食べ物がつまらないようにしなければならないので、
詰めた後、フロスが抵抗感をもって通るのかなど、しっかりチェックしていきます。
歯の彎曲などもお口の中で直接再現しないといけないので、難易度は跳ね上がります。
では次はインレーのケースを見ていきましょう。
〜インレー(詰め物)〜
この方は、元々金属のインレー(詰め物)が入っていた患者様ですが、
インレーを外すと、古い材料の汚染とむし歯が認められました。
かなり深いところまでむし歯が進行しており、後一歩であわやC3(神経到達のむし歯)といったところでした。
当院では神経に差し迫っているようなかなり大きなむし歯であったとしても、残せる可能性が少しでもあるなら、
歯の神経を温存するよう努めています。
もちろん、自発痛(何もしなくてもズキズキ痛む)があったり、歯の神経の炎症所見が認められた場合は、
不可逆的な反応(元に戻らない)になるため、痛みを取るためにはやむなく神経の処置を行いますが、
そうでない場合は、まず神経を残すことを第一に考え、処置を行います。
神経を取ることなく、むし歯を取り切ることができました。
繰り返しになりますが、色が付いているところに関しては、むし歯が深かった部分になります。
このようにむし歯が大きかったケースでは、一度痛みが出ないか確認するために、
仮に詰めて様子を見ることがあります。今回も同様に痛みが出ないことを確認した後に、
インレーの型取りをしていくことにしました。
インレーを装着した写真になります。
今回は患者様のご希望により、セラミックで修復致しました。
インレーは、型取りした模型を用いて、お口の外で形を作っていくため、理想的な形を再現でき、
歯と歯の接触点も適正に作れるため、予後もよく、レジン充填に比べて難易度も低くなります。
また、インレーで修復する場合、材料を選択することができます。
保険診療の範囲内でやる場合と自由診療(保険が使えない治療)でやる場合の2パターンです。
保険内で行う場合は、部位にもよりますが
①金属(金銀パラジウム合金)②レジン
の2種類から選ぶことができます。
保険外で行う場合は、セラミックになります。
材料の詳しい説明は、今回は割愛しますが、簡単に言うと、
安くで治療を受けられるのは間違いなく、金属かレジンであり、
高価ではありますが、歯の寿命を限界まで伸ばし、再治療のリスクを下げられるのは、
やはりセラミックと言えるでしょう。
当院では、治療法についてしっかりお話をして、患者様のバックグラウンドに応じて、
1番良い選択ができるようお手伝い致しております。
なんでもお気軽にご相談ください。
〜まとめ なぜむし歯の早期発見が重要で楽なのか?〜
上記のお話をまとめると、
歯と歯の間がむし歯になってしまった場合、治療法は
①レジン ②インレー
の2パターンが存在します。
これはどうやって決めているかと言うと、歯と歯の間、これをコンタクトと言いますが、
コンタクト部の接触点が残っていたら、レジンでも十分治療できますが、
接触点がなくなってしまうほど、むし歯が大きかった場合は、インレーによって、
新たに接触点を作らなければなりません。接触点をしっかり作れなければ、治療後に、
歯と歯の間にものが詰まって、歯茎が腫れたり、再度むし歯になる可能性が上がってしまいます。
そのため、当院では、コンタクトの接触点がどれだけ残ったかによって、治療法を決定するようにしています。
むし歯が小さく、コンタクトが残るケースでは、治療も簡単で、1回で終わることができます!
またコンタクトに及んでいないむし歯の場合は、こちらもレジン充填1回で終わることができます!
なぜ、むし歯の早期発見が重要で楽なのか、、おわかりいただけたかと思います!!
忙しくて中々歯医者に行けていない方でこれをお読みになった方は、是非ともお近くに歯医者で、
しっかり検査してもらってくださいね!!
今回は、象牙質までむし歯が進行しているC2の治療法についてお話しさせて頂きました。
次回は、その先、神経までむし歯が進行してしまった時の症状、そして治療法について、
ご説明できればと思っています。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!